2021/08/11
鬼滅の刃、炎柱煉獄杏寿郎が死の床にある母に言われた言葉の中に「強く生まれた者は、弱き者を助ける責務があります。天の才を、己の欲のために使ってはなりません」というのがある。
天の才、天が与えた才能、天賦の才。
この才能って、特別なものではないんだ。
誰からも認められて、一目置かれて、輪の中心で、そんな自分ではなくても天が与えた才能はあるんだ、それが生きていく意味なんだと、遅ればせながら気が付いた。
私の幼い頃からの夢は『海外に行く』事が中心にあった。
海外に行く仕事、スチュワーデス、外交官、旅行会社の添乗員。
それが、商業高校へ行き、会社では経理事務をしながら何かを追い求め、辿り着いたのは美容師という仕事。
自分のお店を出して2年後くらいの時、良く当たる占い師のお爺ちゃんに出会った。
「名前と生年月日を書いてごらん」
まだ書き終わらないうちに「40歳〜43歳、手仕事、水仕事、何か事を成す」と言われた。
私は40歳の時に、美容室という自分のお店を持ったのだった。
美容師という仕事は幼い頃からの夢ではなく、２０歳くらいの時は（あんなに大変な仕事、なるもんじゃないなぁ）と思ってたくらい。
それが、その日に生まれ、その名前を貰った時、既に道は用意されていた事になる。
美容師という仕事は天職だと思っている。
女に生まれ、結婚し子供を産み育てる。
そんな多くの人が生きる生活は出来なかったけれど、美容師という天職を神様は与えてくださったと、心から思うことが出来ている。
それでも、天職だとは思っていても天が与えた才能だとは思ってなかった。
「天の才を己の欲のために使ってはなりません」
欲を捨て、人の為に役立つ。
きっと、それは特別な事ではないんだ。
特別なことを成し得なくてもいいんだ。
熊本震災の時に（困っている人のところに行って手助けをしたい）という思いの中、実際には、美容室を開けお客様を待つ日々。
自分には自分の責任があると思ってお店を開けた事ではあっても、被災された方々のシャンプーは無料という看板をあげても、いたたまれない気持ちを常に持っていた。
そんな話を一人のお客様に話したら「シェー謝が開いている。そこに澤下さんが居てくれる。それだけで良いんです」と言って頂いた事があった。
そんな有難い言葉を頂きながらも、その時の私のいたたまれない気持ちを癒す事はなかった。
今はその有り難さがわかる。
それで良いんだ。
それが良いんだと。
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