2021/08/11
初めてご来店のお客様です。
ご希望は、髪を明るくして、ご持参のヘアカタログのようにしたい。お悩みは、くせ毛、細毛、猫っ毛。
ただ、髪の傷みが大きいのです。お客様ご自身もそれはご存知です。
1年前に他店で『傷まないストレートをしましょう』と勧められてなさったものの、施術中、髪がチリチリになって、お店の方から『これ以上ストレートが出来ない』と言われて施術を終わられた、との事でした。
傷まないストレート。
これに関しては、私は『傷まない』という事は無いと思っています。何か髪に刺激を与える以上、髪に何らかの負担がかかります。増してや、薬の力を借りて髪を真っ直ぐにしようとするならば尚のことだと思います。
お客様の髪は、これ以降更に悪化して、一本の髪を引っ張るとビーっと伸びて切れていったそうです。
その後、毎日のお手入れはアイロン、月1〜月2回の自宅でのホームカラー。
声を大にして申し上げます。
これでは、髪は更に更に傷みます。
私が言うまでもなく、多くの方は、知ってらっしゃると思います。今日のお客様も知ってらっしゃいます。
私達は、多くの場合、知ってるのにやってしまう。
なぜなのでしょうか?
簡単だから。手軽だから。髪を綺麗にしたいから。
『髪を綺麗にする』と、『髪を綺麗に見せたい』は違うと知りました。
『髪を綺麗に見せる』には、『誤魔化し』も有りでしょう。
『髪を綺麗にする』には、誤魔化しは通用しないのです。
今、目の前に幾つかの選択肢があるならば、その一つを選ぶ時、『今、楽だから』で選ぶのか?『面倒くさいから』で選ぶのか?『今は大変で難しくても、将来は自分の望み通りになるわ』と思って選ぶのか?
私達美容師も悩みます。何を優先したら良いのか?
今現在のお客様のご希望を優先するのか?ご希望を優先しようにも出来ない、今は辛抱してもらって、近い将来、お客様のご希望を叶えるのか?
私達美容師は思っています。『お客様の願いを叶えたい』『お客様に喜んで貰いたい』と。
『傷んでも良いから、どうにかして欲しい』このご希望が、一番の悩みです。
何故ならば、髪が傷み過ぎたら、『こんな筈では無かった』という事になるのを知っているからです。